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【CADとかBIMとか】 CADは実寸で入力します
CADを教えているときに、
1/100の図面を描くので、10mは100mmで入力すればよいですか?
というような質問が、毎年毎年、もう20年間も繰り返され続けています。
それが、図面のコピーを練習した後、つまり実寸で入力することを十分経験した後での質問だったりするので愕然としてりまうのですが、
タイトルのとおり、
CADで入力するときは、10mのものは10mのまま入力します。
因みに、日本では通常「ミリメートル」を使うので、10m = 10× 1,000 mm = 10,000 mm、つまり数値としては「10,000」を入力します。
ということです。
学生さんたち、間違えないように!
【CADとかBIMとか】 A&A設立30周年
VectorWorks(旧MiniCAD)を日本で普及させたA&Aさんが、設立30周年を迎えられました。
事情があって記念の会に出席できなくなったので、もうひとつのブログに、文書を書きました。
→ VectorWorks Notes : A&A設立30年に寄せて
その後、このブログに移動しました。この記事よりちょっと下にあります。
【CADとかBIMとか】 A&A設立30周年に寄せて
※もうひとつのブログに投稿していましたが、事情でこちらに移しました。(2014/8/16)
※新しく書いた本の紹介がてら末尾にちょっと追記しました。(2018/8/22)
ある学校で、非常勤講師としてCADの授業を担当しています。
昨日の授業中、就職活動中の学生さんが会社説明会で「CADだけではだめ」と言われたと困惑顔で言いました。
私はその説明会に参加したわけではなく、その学生さんから超断片的に聞いただけなので深いところは分かりませんでしたが、ひとつの考え方として「ニワトリか卵か」という観点から彼にその言葉を解説してあげました。でも、どうなんでしょう、、、上の話におけるCADは、たぶん製図CADがイメージされているんでしょうね。
2003年、以前勤めていた大学のオープンレクチャ『CADが拓く建築デザインの未来』に招かれて、、、、実は私が在職中に立ち上げた公開講座のシリーズで、ありがたいことに同僚が続けてくれていたのですが、、、、『3Dはもういらない』とぶちかまして、企画運営と司会を務めてくれた同僚を困らせました。
私は全く予期していなかったことですが、講演者の一人、新庄宗昭さん(当時エーアンドエー社長)もCADはいらないというような表現でCADのあり方について話されました。講演者二人が逆説的な言葉でプレゼンをしてしまったので、司会のW氏はかなりあたふたしたようでした(ごめんね)。
後日談ですが、「CADはいらない」とぶちかました新庄さんと私は、共著でCAD(VectorWorks)の教科書を出しました。それがOASIS加盟校用のテキスト『CADリテラシー演習』ですが、なんとも逆説的な物事の運びだとは思いませんか?
このオープンレクチャで伝えたかったのは、CADソフトだの手書きだの、たんなるツールを意識しなければならないような設計プロセスのあり方はよろしくないということであり、CADという概念を否定したのではありませんでした。教育機関に対しては「CAD演習というような授業名は、もはや恥ずかしいものですよ、考えを変えてみませんか?」というようなことを言いたかったのでもあります(同様のことを在職中から言ってましたが、理解者はW氏ただひとりでした)。
自分が立案して始めたオープンレクチャの最終回だったので、ちょっとショッキングな言葉遣いを使ってみたかったというのもひとつの理由です。
「デザイン行為」という観点からは、2D-CADソフトと手書き製図に有為な差があるとは私は考えていませんが、このときのプレゼンではとくに言わなかったと記憶しています。しかし、冒頭に書いたような学生さんが聞いた言葉は、手書きかCADかという観点が未だに何らかの判断基準として用いられているということを示唆しているのだと思います。
さて、2D-CADソフトはほとんどの場合が製図の効率化を目的に開発されていると思われるので、空間デザインに適した道具であるとは言えません。しかし製図の効率化やデータ共有や継承という点では手書きと比べると圧倒的優位に位置すると思います。冒頭の話は、効率化のところまでは意識されていたとしても、データ共有や継承という観点はたぶん欠けていただろうと思います。だからどうしたと言われても困るのですが、「残念だなぁ」という気持ちと、「やっぱりなぁ」という諦めにも似た気分を持ちました。
さて、BIMというジャンルのソフトが宣伝され始めてから、もう何年も経ちます。ここではベンダーさんが売らんがなのために喧伝しているフレーズはさておいて、Building Information Modeling という概念として捉えてみると、2D-CADも”B”と”I”を操るソフトです。Building の Information を、二次元図面という表現手段で伝達、共有、継承するための表現体系ですから。
未だに手書きとCADが二者択一的なコンテクストで語られることは、業務あるいは職能のあり方が二分化していくことを暗示しているのだと思います。
2004年のエーアンドエーEXPOで講演したとき、私は「今後のCADはBIMとして進化してほしい」という希望と期待を語りました。このとき私は、Building Information Modelingという言葉を知らなくて、Building Information Management という言葉を自分で作って、その頭文字としてBIMと言いました。
ちょっと自画自賛させてもらうと、Building Information Management の概念を実現するためのソフトウェアの一形態が Building Information Modeling ソフトである、というようなイメージ。
「CADソフトとは部材データベースとその表現手法のパッケージである」ことを開発者は分かっていると思います、とくにBIMというジャンルのソフト。私は大学時代、CP/M-80上で Fortranを動かしてパース描画システムを作ろうと試みた経験から、そうであることを分かっているつもりです。当時のパソコンはワイヤフレームなら何とか表示できる程度のパフォーマンスしかなかったので、表現のためのルーチンはどうにかなりそうでしたが、データベースの構築がものすごく大変で挫折しました。)
Interfaceの話も重要なんですが、いまは脇に置いときます。
その後、dBASE IIに出会って、ソフト開発はやめてユーザーに徹することにしましたが、いかなる幸運か、教員として赴任した大学で同じような考えをもつ人物に出会いました(上記、オープンレクチャで新庄さんと私が困らせたW氏)。彼との対話を通して、CADとは建築情報を扱うものであるという認識を強固にすることができました。
私は建築計画だの空間論だの軟派な科目を担当していたこともあって、設計プロセスへの適用と表現の応用に興味の方向を向けていきましたが、背後で動くデータベースというものを常に意識の底において使ってきたつもりでいます。そういう視点で眺めてみると、この20年ほどの間の2D-CAD → 3D-CAD → BIM という変化は、たんにPCパフォーマンスの向上に伴ってCAD概念のソフトウェアとしての表出のしかたが変わったにすぎません。根底のところで何かが動いたわけではないので、100年後の歴史家には、2D-CAD → 3D-CAD → BIM という変化は大きな変化であったとは認識してもらえないでしょう。(一方で、建築史においては技術の変化と建物の相関性を細かく追った論文が書かれるようになるだろうと思います。)
建築情報のデータベースを扱っているという感覚をもっていれば、その変化に抵抗なくついて行くことができますが、操作や表現手法という表面的なスキルのみを憶えてきた人にとっては変化に追従するのはかなり難しいことでしょうし、意図的に対応しない人も多いでしょう。
こうして、近いうちに製図CAD使用者とBIM使用者の二分化が進み、それは業務の明確な二分化をもたらすでしょう。
これは建築士の職能に影響します。
ここでは、それを高等教育機関での建築教育ということに戻してみます。
2008年の第1回BIMミーティングや、2009年の第1回VectorWorks教育シンポジウムで、上記のような考えを根本に置いた講演を行いました。いずれもインターネット上に記録が残っていると思うので、興味がある方は検索してみてください。
私が30年来追い求めてきたようなCADのあり方に、世の中の全員が対応していくことには困難が伴うと思われます。だから二分化するだろうと上に書きました。二分化することを否定しているわけではありません。二分化という言葉で勝ち組と負け組に分かれると言いたい訳でもありません。 ここでは、二分化を前提とした教育のあり方が当面の高等教育機関で課題となるであろうということを言いたいのです。
そういう意味では、新庄さんとの共著『CADリテラシー演習』は、予言(?)の書なのですが、ある意味で簡素すぎて、ある意味で奥深すぎて(!)、あまり伝わっていないだろうなぁと思っています。
このような状況下、CADベンダーにはできればCADを販売し始めたときからやっておいてもらいたかったことですが、いまからでも間に合うのでがんばって「レシピを提供していって欲しい」と思います。
「男の料理」的な達人のレシピは散見されるのですが、一般大衆にとっては無用の長物であったりします。
私はありふれた日常生活で気楽に作れ、まずくないと評価される料理を提供できる人を増やすことによって、世界の建築物の平均的な質が向上していくのだと信じています。医療の世界ではQOL(Quality of Life)という言葉がありますが、建築デザインにもQOL向上のためのレシピが強く要求される時代に入っていき、もしかしたら建築士の職能が二分化することの意味や意義が見えてくるのではないかと思います。
当面、それを主導するのはBIMを軸とした建築教育カリキュラムであり、CADベンダーにはそのための何らかのアクションを大至急起こして欲しいなぁと、、、あぁ、これは第1回VectorWorks教育シンポジウムで述べたことですが、数年経ってもリアクションが感じられないので、すこし寂しい思いでいます。
ということで、十分長くなったわりには、内容があっちに行ったりこっちに来たりになってきたので、これ以上長くなる前にストップします。
A&Aさん、30周年おめでとうございます!!
*
【2018/8/22 追記】
私は都合で参加できませんでしたが、今日、Vectorworks教育シンポジウムが行われました。私が講演したのが第1回でしたから、ちょうど10回目です。上の文中に登場する元同僚であるW氏はたぶん参加したでしょう。今年の4月、そのW氏とそれからもう一人の若い友人とVectorworks の本を出版しました。『CADリテラシー演習』の発刊は第1回のシンポジウムの年でしたから、ちょうど10年です。肉をかぎりなく削ぎ落として骨格だけを残したと言える入門書『CADリテラシー演習』の知識やスキルを骨格として、神経回路網を作り上げるような位置づけの本であるつもりです(※)。『CADリテラシー演習』でなくても、基礎的なスキルを身につけ、入門段階から中級段階に至ろうとする人たちに向けた本です。
(※)肉付けは読者自身で行うべきだというのが持論であると同時に、読者に対する希望です。だから『VECTORWORKS ベストテクニック 100』においても、執筆者の色を極力排除しています。
【CADとかBIMとか】 レイヤー名から思うこと
とある人が、とある著名なCADで起こした図面を、DXF経由でVectorWorksに取り込みました。
VectorWorksでDXFを取り込む場合、元データのレイヤー名はクラス名として取り込まれまるのがデフォルトです。これはVectorWorksのクラスの意味を考えるときに役立つことですが、それはさておき、取り込み後にナビゲーションウィンドウに並んだクラス名を見て、彼はぶったまげました。
「 0 」 は仕方ないとして、その他は、「細い線」、「もっと細い線」、、、。
この図面データをベースにして分析作業を行う必要があったので、彼の最初の作業はクラスの割り当てを意味ごとに再整理することになってしまいました。もちろん、最初の図面で使われたCADに問題がある訳ではありません。要するに、使い方の問題です。
しかし、線の太さは図面上の現実でもある訳だから、このような命名法を一概に否定するわけにはいきません。図面をプリントすることが最終目的であれば全く問題が無い、といっても差し支えないでしょう。
CAD教育に話を落としてみたら、「CAD製図教育であっても、製図だけに終始してはダメ、CAD の仕組みも教えないとね!」というところがスタートなんでしょうか?
自分でプログラムを組むのが当たり前だった私の世代にとっては、仕組みの把握→応用や展開(CAD製図教育の場合は製図、CAD教育の場合は設計)という順序は当たり前なんですが、今の世代は時代的に仕組みの理解から入ることが困難だと思います。
ということは、CADの「CA」の意味合い、BIMの「I」の意味合いを教える側が理解していることの重要性がとても大きくなっているのだと思います。
でも、難しいことではありません、自分の手で作ろうとしたら、どんな考え方でどんな手順で行うかを捉えればよいだけです。
数学では、解き方を考えてから式を立てます。先に式をつくってから解き方を検討することはやりませんが、もしかしたらその状態、つまり、製図してから建物を考えるような状態に陥ってはいないでしょうか?
DesignWorkshopを使い込んだ人にはこの感覚がよく分かると思いますが、逆にDesignWorkshopが普及しなかった要因は、この辺の捉え方が難しいからなのかもしれません。
ソフト側の問題も多いですよ。
ひどい場合は「コンピューターエイディッドデザイン(デザイン行為の中の手間や時間が掛かる部分をコンピュータが肩代わりして、人間側の負担を減らしながら、よりよいデザインを導く手助けをする)」ではなくて、「ヒューマンエイディッドアプリケーションソフトウェア(ソフトの不備な部分を、人間が手助けして、コンピュータがなくてもできることをわざわざコンピュータを使って行う)」になってます。
CADに限らず、多くのソフトが後者に近い位置にいますね。安いデータベースソフトや音楽プレーヤと抱き合わせのソフトなんか、まさにそうです。
さて、BIMと呼ばれるCADソフトであれば本来はレイヤー名など気にしなくてよいはずで、たしかにそういうCADソフトも存在します。
現在、多くのCADでは設計者 ~ CAD~ 建物という関係で作業せざるを得ません。
しかし、CADは本来は設計者~ 建物という関係を構築するための補助ツールであるべきで、その関係に近づかせてくれるCADソフトは明らかに存在します。そして、そういうソフトが実務の大半で利用されるようになったら、「CAD教育とは何をする場であるか」というお話になっていくわけで、そういう時代が到来したら「細い線」というようなレイヤー名をつける人もいなくなるでしょう。
【CADとかBIMとか】 Radianceを使おう!
※VectorWorks関連のブログから、2009/12/04の記事を移動しました。
画像は日経CG(1999年5月号)のラジオシティ特集に掲載されたものを含め、Radianceでレンダリングしたものです。
本来、照明や光の高機能なシミュレーションソフトですが、対応したモデラーが少ないので、ぜんぜん普及しません。
でも、下に掲載したように、すばらしい絵ができたり、シミュレーションができたりするので、挑戦してみてはいかがですか?
【教育】 教育現場で使うソフトと、学ぶ喜び
非常勤で教えに行っている某専門学校で、今年度から、授業で使うCADが変わりました。
変わった直接的な原因は、従来使っていた10年近く前のバージョンのCADが、Windowsなどシステム度重なるアップデートに対応できなくなり、ついに、まともに動かなくなってしまったことです。
99%以上の機能はまともに動きました。
しかし、出力時に生じる不具合だったので、それまで苦労しながらやった作業が、水の泡になってしまうのでした。
結果を出せない道具なんて、存在意義はありません。
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こういう場合は、そのCADをバージョンアップするのが普通かも知れませんが、如何せん、(教育版といえども)十二分に高いので、検討の結果、他のCADに切り替えることになりました。
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昨年度まで使っていたCADは、なにぶん10年近く前のバージョンなので、3D機能も操作も垢抜けず、3Dで見たいだけであっても、煩雑で手間がかかり、さらに直感的でない操作が必要でした。「直感的でない」というのは、かなり譲歩した表現ですが、とにかく、その直感的でない操作は、直感的でないが故に、なかなか学生たちの頭にはいっていきません。
「たったこれだけのことをしたいだけなのに、なんでこんなに手間がかかるの?」と感じさせる操作は、学習の障害となります。
その煩雑で直感的でない操作ですが、プログラマの気持ちになってみると、けっこう合理的に考えられているように思います。しかし、ユーザにとっては、意味不明の煩雑な操作を強いられるわけです。そういうのはイケマセン。
新しく入れたCADも、この方がプログラマはやりやすいだろうな、という部分がちょこちょこあります。実はもうちょっと値段が高いやつは、その点がかなり解消されていて、ユーザ本位度がもうちょっと高いソフトです、、、、値段とユーザ本位度が比例するのはおかしいですが、なんだか、他のジャンルのソフトでも同様ですね、、、。
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さて、新たに使うことになったCADは、その手間がありません。
ダブルクリック、もしくは、ファンクションキーで2D/3Dを即座に切り替えられます。その他にも、昨年度まで使っていたCADではウルトラC的な操作が必要だったことが、あっさりとできます。BIMと名乗るからには、あって然るべき機能が備わっているだけなのですが、学生たちは楽しそうです。
学生たちに「どう?」と尋ねたら、多くが「すごいです!!」と嬉しそうな顔で答えました。
それに前のCADでは、相当に集中力のある学生でも、90分×2コマの授業の2コマ目の後半には音を上げていましたが、今度のCADは、集中力に大きく欠けるような学生でも、授業終了時刻の20分くらい前までは、がんばれます。授業運営上、とても嬉しい状態です。
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因みに、前のCADだと、そういう喜びに行き着く前に、とくに3Dの煩雑な操作に疲弊してしまっていました。
だから、学習効果はとても低かったです。したがって、私も3Dではなく、2D機能を活かした使い方の指導に力を注いでいました。
(そもそも、2D機能こそに価値があるCADだと私は思っています、、、、。)
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それはさておき、教育現場でのソフト選びは、機能云々より、学ぶ喜びを得られるかどうかの方が重要かも知れませんね。
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話が飛びますが、開発者さんたちにお願い。
シームレスなデータ連携など不要です。思考がシームレスに行くようなソフトを作ってください。さらに言えば、シームレスなデータ連係はシームレスな思考の前提です。だから、シームレスなデータ連係はあって然るべきもので、そのことをわざわざ採り上げて宣伝するようなものではありません。
【教育】 ブログへのアクセス状況から感じる不安
以下、私の別ブログ VectorWorks Notes での出来事と、それから想うこと。
その1
このブログでアクセスが多いのは;
- 表面的な操作だけの記事
- マニュアルを読めば分かることを書いた記事
- ベンダーの怠慢の補足記事
- ちょっとした想像力で発見できることを書いた記事
もっとも、もう20年来、大学などでCADを教えてきた経験から、学生たちが困る部分をアシストしてあげようとして作ったブログであるから、上記のような記事へのアクセスが多いことは、意図通りであるのだが、、、、、、。
その2
昨夏以来、「CAD 卒業設計」というキーワード検索で到達する人が少なからずいたので、「CAD 卒業設計」に関わる記事を書き始めたら、アクセスが倍増した。
アクセスした人たちが、私の記事をどう読んでいるかは、全く分からない。
しかし、このようなキーワードで検索する人がいる学校(あるいは指導教員)は、教育を放棄しているのではないか、、、、。
【CADとかBIMとか】 VectorWorks2012
建築とかCADとかBIMとか教育とか、、、、が本題のブログなんですが、PCやソフトの備忘録ばかり、それもWoooのDLNA機能に対するメーカーの怠慢の回避法の記事ばかりがアクセスされていて、、、、
、、、、本題の投稿がおそろかになっているからとだ反省する反面、多少、嫌気が差してきているのも事実。本題の方は、別のVectorWorks関連ブログに力を入れているので、おろそかになってしまっていると言っても言い訳にしかなりませんね。
そこで、CADソフトに関することを。
VectorWorks 2012 の紹介やデモムービーを、HPで見ました。
ようやく、3D-CADを名乗れる状態になってきたなぁ、という印象です。
私は、表向きには VectorWorks は 3D-CAD であるとか、BIM であるとか語ってきましたが、建築モデリングについては、良くも悪くも2Dを引きずった重箱式※なので、3D-CAD だとは位置づけていなかったのです。BIM としては発展途上だし。(※重箱式という意図は、別ブログに書いています。)
3D-CADはもう古い、BIMだ!!
というのが、このブログのテーマのひとつでもあるわけですから、BIMとしてはどうなんだ?といわれそうですが、まだ使ってないのでノーコメント。
そもそも、
3D-CADはもう古い、BIMだ!!
は、(商売上の切り分けとして)「BIM」とベンダーが銘打っている売っているCADソフトに移行した方が良いよ、というニュアンスであって、概念的には、BIMは広義の3D-CADに包含されるものだと哲学する私です。
【CADとかBIMとか】 好きなCAD、嫌いなCAD
僕は、○○CADは好きだけど、××CADは嫌いだ
もちろん好き嫌いはあって当然だと思うし、同じ結果を、同じ手間とコストで導けるのであれば、好きなCADを使いたいものです。
ところが、
××CADの方が楽にできるけど、○○CADが好きだから、すべて○○CADでやる。多少の苦労は厭わない。
という状態に陥っているとすれば、それはヘンでしょう。
私は、主としてVectorWorksを使っていますが、好きだからではなく、私にとって必要な作業が最も効率よくできる場合が多いからにすぎません。だから、他のCADを使うこともあります。
道具なのだから、それが有している機能が、直面する課題を解決してくれるかどうかだけを評価して、使うべきCADを選択すればすれば良い訳です。
問題は、CADは価格が高いため、複数のCADを常備しておいて、必要に応じて切り替えながら使うということをやりにくい点ですね。使用許諾条件という縛りもあるし。
【CADとかBIMとか】 卒業設計に適したCAD
タイトル通りのキーワード検索でこのブログに達した方がいらっしゃいましたが、そのような記事はこれまで書いていませんでした。
でも面白いお題でもあるので、ひとこと、、、、。
現在存在するすべてのCADを網羅しているわけではありません。私が使ったことがあるCADで、無料~2万円程度のものは;
- VectorWorks
- Revit
- ArchiCAD
- JW_CAD + SketchUp
Vectorworksの上達法は、『Vectorworks ベストテクニック 100』をご覧ください。
【怖いもの見たさ、あるいは、耽美派向き】
- Radiance
Radianceはレンダリングしかできないので、 モデリングには DesignWorkshop が必須、図面を描くときはJW_CADでも大丈夫でしょう。
以上、卒業設計初期段階からの有効な試行錯誤をしやすいという点でオススメです。うっかりコメントを書いて誤解されると困るので、とくにコメントしません。
強いて言えば、どれかが絶対に良い、優れている、ということはありません。それぞれ特長があるので自分の目的に合致したソフトを選ぶべきですが、分からなかったら身の回りに利用者が少しでもいるソフトが良いでしょう。
あえてみんなが使わないソフトを選ぶ孤高の人(他者はヒネクレ者と呼ぶ)もいるかもしれませんが、このページを読んだみなさんはそうならないように!
ソフトの機能以前に、困ったときに救いの手をさしのべてくれる人がすぐ見つかること、友人同士で使い方を一緒に覚えていけること、それが大切です。
卒業設計の「プレゼン」にソフトが影響を与えることはありますが、「設計の質」は、ソフトの機能や仕様には左右されません。 ( 【注】 同一の結果を導くまでの作業時間や効率は、ソフトによって大幅に変化します。 )
- なお、VectorWorks が教育上良い理由は、2009年のVectorWorks教育シンポジウムの講演で話しました。以前、ケンプラッツやエーアンドエーのサイトでも紹介記事がありましたが、今はなくなっているかもしれません。
おすすめしないソフト
こっちにはコメントをつけておかなければなりませんね。
- AutoCAD
AutoCADがだめというのではありません。だめソフトだったら、こんなに普及してません。
卒業設計に適しているかと問われたら、私は否定的です。
そして、どうせAutodesk社の製品を使うなら、Revitを選んだ方がいいよ、 という意味合いです。
ただし、Revitを使いこなすには、 ユーザであるあなた自身がそれなりのレベルに達しているか、あるいは、良い指導者(←「CADの授業で操作を教えてくれる先生」という意味ではない)が身近にいる必要があります。 - JW_CAD だけ
なぜダメかというと卒業設計って図面を描くだけじゃないでしょ!ということなのですが、それが分からないひとはお好きにどうぞ。
以下、先生方、怒らないでくださいね
さまざまなCADを使用し、試行錯誤の上で、それぞれの特長を掴んで、「君の設計には、●×を使いなさい」という指導ができる教員は少数派でしょう。あなたの先生の薦めるCADが、あなたの卒業設計に適しているかどうかについては、なんとも言えません。でも使うCADによって設計が左右されるとしたら、それは困ったことでもあります。
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