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【雑記】ロン・カーターの大きな手の思い出

ロン・カーターが「音楽を通じた日本・アメリカ合衆国間の友好親善に寄与した」という功績で旭日小綬章を受章したとのことです。とても喜ばしいです。

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ジャズを聴き始めたころ聴いていたのはビル・エバンス・トリオローランド・ハナだったので、知っているベーシストはエディ・ゴメスとジョージ・ムラツで、初期ビル・エバンス・トリオのスコット・ラファロすら知りませんでした。だからロン・カーターも知りませんでした。その後、聴く範囲が広がってロン・カーターという名前も頭に入りました。ビッチェズ・ブリューでマイルス・デイヴィスを聴きはじめましたが、それ以前のマイルス・デイヴィスの音楽は好みではなく、したがってロン・カーターにもさしたる興味を得ませんでした。

しかしあるときロン・カーターの「ダブルベース」を聴き、いわゆる「ビビビっと来た」状態になりました。その後、いわゆる苦学生生活を終えてようやく某大学に赴任し、LDプレーヤーとLD数枚を買いました。赴任先は日本で最も緯度が高い地方で、夏至前後の長い長い夕方、雪が降る静かで長い長い夜のひとつの楽しみがLD視聴でした。その中の1枚がロン・カーターの「ダブルベース/ロン・カーター・ライブ」です。このLDはウィスキーのオンザロックにぴったり合っていて(あらためて調べたらサントリーのCMで使われていたそうです!)、グラスをカラカラとやりながら視聴していました。

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赴任して数年後、「ロン・カーターが来るけれど聴きに行く?」とある同僚から声をかけられました。その同僚は私が研究室や車でいつも音楽をかけていることは知っていましたが、ジャズについてもロン・カーターについても話したことがなかったのでドンピシャの名が出たことに驚きつつも、即座に「行く!」と答えました。この演奏会の企画者が同僚の知り合いであったそうで、ロン・カーターに近い席を確保してもらえました。

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会場はあるホテルの200人程度収容の宴会場で悲しくなるような音質でしたが、実物のロン・カーターがベースを奏でる姿を眼前にしている昂揚の中で第一部が終了し、休憩時間を迎えました。同僚から「会いに行ってみる?」と声をかけられ、私は声にならない返事をしました。実はこういうケースを夢想して、件のLDとマジックペンを持参していました。ロン・カーターは第二部の打ち合わせ中だったので、遠巻きに立っていましたが、ちょっと合間ができたようだったので声をかけ二言三言話して(頭に血が上っていたので”I do love your music.”のほかに何を話したかが全く記憶にない)、厚かましくもLDとペンを差し出しサインをお願いしたら、にこやかな表情で”Thank you! Ron Carter”と書いてくれました。そしてロン・カーターは私に手を差し出しました。私の手は手袋で言えばLサイズですが、差し出されたロン・カーターの手と比べるとまるで幼稚園児の手で、そのことをちょっと恥ずかしいなと思いつつ、ロン・カーターの手をぎゅっと握り返しました。

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その後、LDの時代は終わり私のプレーヤーも壊れてしまったので、件のLDは数十枚のLPとLDと一緒に棚に並んでいます。さっきロン・カーターの受勲を知りLDを棚から取り出しました。そしてあの大きな手と、自分の手の小ささを恥ずかしく感じた瞬間を思い出しながらニヤついているとことです。

カテゴリー:雑記
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