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【教育】 大学の情報教育

とある大学の1年生前期の情報教育のシラバスを見る機会がありました。そして、愕然としました。愕然としたポイントは主に下記の3つです。

  1. 150名程度1クラスで、PC教室ではない教室で、1人の教員が担当
  2. 学生は個人のPCを持参することが必須

私自身が、非常勤講師として、他の大学で1年生前期の情報教育を担当しています。だからこそ愕然としました。

1. 150名程度1クラスで、PC教室ではない教室で、1人の教員が担当

この大学は60分授業なので、もし演習授業であったとすると、教員1名が学生1人当たりに避ける時間は24秒(=60×60÷150)であることから、すべての学生に均等に個別指導を行うことは不可能です。これが理由かどうか分かりませんが、基本的には講義だそうです。

2. 学生は個人のPCを持参することが必須

1の状況から言えばPCは不要であり、講義として学んだ内容を学生が自由に使える大学のPCや、自宅のPCで復習すればOKであるはずですが、なぜかノートPCを持参することが要求されています。一般教室で150人分の電源を準備できるとは思えません。案の定、大学生協が扱っている推奨PCはバッテリー駆動時間が10時間以上のタイプです。年式の古いPCを持っていて、それを使おうとする学生は、バッテリーが60分も保たないでしょう。バッテリー切れは、60分持続するバッテリーを持っていない学生個人の責任になるのでしょうか?

上記に加えて、教える立場として最も驚いたのが、全15回中10回は、スムーズに進めば5分もかからないような内容が1コマ分の内容として示されていたことです。

その内容は入学時のガイダンスで終わらせるべき内容、たとえば大学メールアドレスの設定とか、クラウドの使い方とかなど、事務的な手続きの説明のようです。「情報教育」と呼べるものではありません。

そして成績評価においては「全出席を前提とする」そうなので、大学入学までに十分なスキルを身につけた学生にとっては、無駄なことに拘束される拷問の時間です。ノートPCで手元が隠されて、教卓からは何も見えませんから、ぜひとも内職に励んで欲しいです。とはいえ、それで単位がもらえるのであれば、学生にとっては美味しい話かもしれません。

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上記とは異なる大学のシラバスには、大学のPCを使うので、個人的に所有する義務はないというようなことが書かれていました。

私も、自分の授業については「大学の教室で作業可能なので、この授業のためだけにPCを所有する必要はない」という意味合いのことをシラバスに書いています。ひとつの理由は、デザイン系の学生を対象としているので、学生たちが今後進む専門によって状況が異なり、必要となる機器やソフトも異なるので、1年のときに焦って買うと、2,3年次に買い換えの必要が生じることです。もう1つの理由は下記です。

ここ数年、入学時の学生のPC所有率がどんどん低下してきています。原因は、誰でも容易に想像できる「スマートフォンの普及」です。

冒頭の大学の説明では、レポート作成やプレゼンでWord, Excel, PowerPointを使うからPCが必要らしいのですが、Word, Excel, PowerPoint は、とくに凝らないかぎりはスマートフォン版で十分です。30年前のワープロ専用機やPC-9801の松や一太郎などのワープロソフトやLotus 1-2-3などの表計算ソフト、あるいはMicrosoft Windows の出始めのころのワープロや表計算ソフトで学位論文を書けました。今のスマートフォン版のオフィスは、そのころよりずっと機能的にも充実しています。だから、スマートフォン版ではダメという理由はないはずです。

スマートフォン版の問題を強いてあげれば、キーボードがないことと、画面が小さいことがありますが、Bluetoothのキーボードが使えるし、画面の小ささも目の良い若者にはそれほど障害にはならないようです。機種によってはHDMIケーブルや無線でTVに画面を表示できるので、問題の解消は容易です。それなのに、なぜ「個人のPC」を持参して授業を受ける必要があるのでしょう? 私には理解できません。

ある限られた時期においては情報教育とPCは切っても切れない関係にありましたが、スマートフォンが普及した現在においては、情報教育とPCは切り離せます。そして、人文系科目のレポートや調査分析程度であれば、スマートフォン版のWord, Excelで事足ります。

要するに、メール設定、クラウド設定、Word, Excel, PowerPointの使い方を学ぶときに、PCは必須ではないということです。

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私は、教育機関における情報教育が、特定ソフトや特定機器の扱いを教える場になってはいけないという考えで、状況教育に携わってきました。

情報機器の操作は情報教育において必須ではありません。教授すべき情報機器を操るための概念の修得だから、そのような内容を主体とする授業であれば、150人対象の「講義」は成り立ちます。ただしその場合、「演習」ではないので学生たちが自分のPCを持参する必要はありません。

さらに言えば、情報機器の操作(特定ソフト、特定機器の扱い)は、メーカーのインストラクターや、Word, Excel 等の民間資格保持者、あるいは上位学年をTAとして採用して、入学ガイダンスの一部として時間を充当すれば十分です。

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さて、他の記事に記しまていますが、情報教育の演習授業から特定の情報機器やソフトの操作を切り離すことは、現状では困難です。

だから、大切なのは、指導者が明確な切り分け意識を持っているかどうかです。

知識もスキルが一様で無い学生たちを十把一絡げに扱うために何をどうすべきか考えると、どのような授業内容にすれば良いか見えてくるはずです。言うは易く行うは難しで、私も毎年苦慮しますが、少なくとも全員がズブの素人であると見做したような授業はペケだと思います。

 

 

 

 

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